「石と芸術の町金谷町・鴨川大山路散策の旅」
同行記
 


 久里浜から金谷港まで東京湾フェリーで40分。
 車では東京からアクアライン〜館山道経由で約2時間。
 JR内房線で東京から浜金谷駅まで2時間20分。

 鋸山の
眼下にあるのが、金谷町だ。

 好立地に恵まれているが、立ち寄り地というより通過地としかなってい
 なかった。

 その金谷と鴨川の隠れた宝を見聞するツアー
 「金谷
&鴨川隠れた魅力探訪散策」
 がNPO法人千葉自然学校のブロデュースで実施された。


 2月19日 薄曇り・風が少々冷たく感じられる
 9:30金谷港に集合。 総勢19人。

 先ず、主催者を代表してNPO法人千葉自然学校の事務局長遠藤陽子さん
 がご挨拶。

 次いで金谷町と鴨川と館山の各地区をご案内するスタッフの紹介があった。


主催者 千葉自然学校 遠藤陽子さん
ご挨拶
スタッフ紹介
スタッフ紹介 金谷町散策ガイド役 鈴木裕士さん

 
 いよいよ、先代が鋸山で石材会社を経営されていた鈴木裕士さんのご案
 内で、金谷町の散策開始。

 国道127号線から折れて、浜金谷駅への近道に入ると、静かな家並み
 が続く。

 道のあちらこちらに芸術のまち作りに賛同した、美術学校の生徒さんたち
 力作の房州石の彫刻のモニュメント(23体)が置かれ、それぞれに作品
 名が付けられている。

房州石 モニュメント 明日を創る 房州石 モニュメント ふたりかえ

  眼前の鋸山では1983年頃まで房州石を切り出していたとのことで、
 石を運んだ「車力道」は今はハイキングコースになっている。

 その房州石を石塀に使った家々が,浜金谷駅周辺に残っていて、一分は
 風化しているものの、歴史の面影を感じさせ,静かな町並みの風情を造
 り出している。


 房州石が使われている塀 風化が進み修復の跡が。
 耐火用にも珍重されていた。
鋸山


 ゆるやかな坂を上るとJR内房線の踏切を浜金谷駅の構内を眺めつ
 つ渡り、右手を見ると
数メートルの高さもある「華蔵院 吉祥寺」
 という立派な門柱が目に飛び込んできた。

 小林一茶が俳句の創作のために14回も訪れたといわれる名刹だ。

 門柱を左に見て、境内に入る。人影もなく、静寂に包まれた広々とし
 た境内だ。

 境内の右手には鋸山が石切の跡をのぞかせて、左手には諸岡太左右衛
 門の墓が目に付いた。

 本堂にはご本尊の十一面観世音菩薩があるとのとこでしたが、
 お参りはできませんでした。


華蔵院 吉祥寺の門柱 小林一茶が14回訪れたという華蔵院
  
上総國三十一番 興教大師形状看板 境内にある 諸岡太左右衛門の墓


 華蔵院を後にして、来た道を戻る。

 帰りは、JR外房線の踏切が閉まった。単線で1時間に1本という電車
 が浜金谷駅に入線するところだった。

 そして、ご案内役の鈴木裕士さんの家に向かう。

 鈴木家の房州岩で造られた幅の広い灌木が植えられている二段式の塀と
 元蔵の屋根に使われていた鬼瓦と、奥庭に鎮座されているお宮の土台の
 敷石の房州岩が県の文化財に指定されているという、敷地、茅葺きから
 普通の屋根に改修をされてしまっているが家全体が文化財のようなもの
 だ。

 鈴木さんから、鈴木家に伝わる房州石の採石する際の道具と動議の使い
 方の説明をいただき、実際に道具を持ち上げた人が「あっ、意外と重い」
 と思わず声が出るほど、重かった。

 大変な作業だっだろう。
 切り出して出荷できるように割られた1本の重さが60sだとか。

 切り出した石を運ぶ車力の形を復元したものに張り子の石が置かれていた。
 
 たちまち車力も、子供達のかっこうの遊び道具に変身だ。


 
道具が並べられていた場所の椅子に立てかけてあった明治時代の鈴木家の
 写真を拝見する。

  もともと庄屋だったとのことで立派な佇まいだ。現在に残された、蔵の
 屋根には鬼瓦が、屋敷を囲む高い塀には房州石が使われていたのが、うか
 がえる。


 それにしても大きな屋敷だ。

  現在の屋敷の裏には今でも鋸山からの地下水が枯れることない井戸があ
 り、更にその裏手には、土台が上質の桜模様の房州石が使われたなまこ壁
 の蔵があり、現在金谷美術館の別館として、1階と狭い急な階段を昇った
 2階の展示場には金谷の昔を思い描かせる絵の数々が展示されていた。

 蔵の歴史的建築学的な価値と絵がうまく調和している、正に隠れた金谷町
 の財産だ。


明治時代の鈴木家の写真
現在の鈴木家
裏庭の社に通じる道に置かれてい
る鬼瓦
社の土台に使われている房州石
房州石を切り出す道具 房州石を運んだ車力
今も枯れることが無い、鋸山からのしみ出ている水をたたえる井戸
なめらかな上質の桜模様の房州石で造られた、県登録有形文化財の蔵
県登録有形文化財 ミニ金谷美術館 金谷美術館

 金谷美術館は昨年3月に、地元の美術館の芝張りや整備も、地元の小学
 校の生徒さんはじめ地域の多くの方々の協力を得て開館。建設費を一口
 建設者として参加していただく募金プロジェクトが進行中。

  千葉県出身の
鑑定家・中野雅宗氏らが収集した古美術品が展示されて
 おり、現在は尾形光琳、俵屋宗達、酒井抱一などの絵画・蒔絵等の琳派
 展を開催中。

 入館料大人800円は展示内容からすると少々高い気がする。


 散策と美術鑑賞の後は、いよいよお待ちかねのランチです。


「提げ重」ランチ
 
 今日の料理は、房州地域の農家の人たちが農作業中の昼食の時に、昔か
 ら行われている各家庭の自慢料理を持ち寄り、皆んなで一緒に、分け合
 いながら楽しく食事をする「提げ重」
の風習にのっとり、君津市女性起
 業家ネットに加盟されている、元気なお母さん方が調理した料理のバイ
 キングスタイルだ。

 何と、何と、金谷コミュニティセンターの会場に用意されていたものは、
 地産地消の材料にこだわって調理した、お母さん方自慢の逸品の品々だ。


  手前から、牛乳ようかん。
  煮豆。
  大沢米こしひかりのおにぎり、中の具も独特の製法で作った自家製
  梅干し、鮭など。

  地元産の山菜を炊き込んだ山菜おこわ。
  白菜・菜花・大根漬け。レタス・いちごなどのサラダ。
  人参、さつまいも、ふきのとう、かきあげの天ぷら。
  だし巻き卵。
  椎茸、人参、ごぼうの甘煮。
  こんにゃくと大根の味付け抜群の煮物。

  味付けと煮込み具合が絶妙のひじきの煮物。
  塩分控えめの自家製の味噌汁。

  地元産のファッションフルーツ、いちごなど4種類の砂糖をまぶし
  たゼリー菓子。等々


食事前の料理 サラダ・卵焼き 食事前に並んだ料理
牛乳ようかん おにぎりと煮豆
春の味ふきのとう等の天ぷら 厚焼き卵・煮込み具合が絶妙ひじき
味のしみ具合が抜群。
大根・こんにゃく
 白菜の漬け物・山菜おこわ
漬け物・山菜おこわ 自家製味噌での味噌汁
 本日の提げ重料理を作られた、君津市女性起業家ネットの皆さん


鴨川市 大山路散策 !
 
 お腹が満たされたところで、地元の鈴木さんや君津市女性起業家ネット
 の皆さんとお別れをして13時頃浜金谷駅前の金谷コミニュテイセンタ
 ーから、鴨川泊組と館山泊組がバスで出発。

 鴨川市平塚地区高倉山の中腹にある大山寺に向かう。


  先ず、高蔵神社をお参りすることになった。

 高蔵神社(石尊様)

 高蔵神社の向拝虹梁に「龍」の彫刻があり、雨乞いの祈願をしたと
 知られ、信仰が熱かった神社だとか。

 大山寺の駐車場から急な坂道をハアハアいいながら、途中で長狭平野
 を眺め、一息ついて、神社の境内にやっと到着。


雨乞いの神事が行われ、すぐ雨が降ったといわれる、霊験あらたかな高蔵神社


  高蔵神社の参拝をすませて、大山寺に向かう。

 大山寺は、大山山頂に所在する高蔵神社(通称石尊様)の別当寺として
 
奈良時代に良弁僧正が開山したと言 われ、高倉山の中腹にあり境内から
 の眺めは気持ちよく、うっすらと長狭平野や市街地が広がっていました。

 神奈川県大山寺、成田山新勝寺と並ぶ関東三大不動の一つと言われ、
 昔は多くの参拝者が訪れ、地域の人々からも厚く信仰されているお寺。

  本堂、軒先には波の伊八が彫ったといわれる重厚な雲・竜・波の彫刻が
 見られ、内宮殿には元旦と節句の日だけご開帳される千葉県指定有形文化
 財「木造不動明王坐像及び両脇侍立像」が安置されている。

 が、ガラスに阻まれ拝観ができず、残念。


 本堂を出て鐘突堂で、鐘を次々と突いて、大山千枚田まで散策する。
 鐘の音が静かな山里に響き渡る。

 急勾配の階段を参道まで下りる、途中の山門には幾分やさしいお顔の仁王像を
 発見。

 参道には、昔、10軒近い旅籠があり、参拝客で賑わっていたとのことだが、今では
 その面影をしのぶことすら、出来ない。

大山寺の境内の早咲き桜 大山寺の裏手 長狭平野を臨む
 大山寺の境内と参道に通じる急勾配
 の階段。
 祭りにはこの階段を御輿を担いで昇る
大山千枚田に向かう道すがらに
咲く白梅
水仙が咲き、枯れ草の間から黄色のたんぽぽが。春を待つ大山千枚田


 「大山千枚田」まで、散策だ。

 急いで歩けば20分くらいで行ける道のりだが、初春の大山路の道草をし
 ながら1時間近くの散策となった。

  ツアー参加者の中の小学1年生の元気な男の子とお兄さんにも負けない
 くらい元気な5歳の女の子たちは、何にでも冒険心がいっぱい。

 枯れ木にからまっている、ひからびたからすうりをみつけ「これは何?」。
 
 道ばたに落ちこぼれている椿の花の空を見上げ
 「あっ、たくさん椿が咲いている」。

 道の土手からわざわざ降りて、枯れた竹の棒を拾い、妹に悪さをし、
 お母さんに叱られたり。

  枯れ草の間に春の訪れを告げる、可憐な黄色の花をのぞかせるたんぽぽ
 を発見。咲ききって綿帽子となったたんぽぽを摘み、息をふきかける。

  と、春風に乗って胞子が空に向かって舞い散るのを見て、笑い、喜ぶ子
 供達の姿を見て、大人達もなごみ、自然と笑顔がこぼれる。

 まさに、ゆったりとのんびりとした散策を楽しみ、大山千枚田に到着。

  大山千枚田の土手には春の訪れを告げる水仙が咲き、到着の皆さんを歓迎して
  くれていました。

 今日の予定は、無事終了。

 

 大山千枚田の案内所には、既に、今日、民泊先となる、NPO法人太山千
 枚田の理事長の川名久夫さんと御山王の高橋英夫さんがお迎えに来ていま
 した。

 楽しいお泊まりと、翌日の体験がまた、楽しみだ。